今年の夏も全国的に厳しい暑さが続いています。気象庁によれば2025年の日本の年平均気温は観測史上最高を記録し、伊勢崎市で41.8℃を観測しました。
(気象庁ホームページ-全国各地の最高気温の観測史上順位一覧-)
このような記録的猛暑のなか、熱中症による健康被害が増えています。厚生労働省の資料では、熱中症による年間死亡者数は令和5年で1651人と平成12年の207人からおよそ8倍に増加しました(熱中症による死亡数 人口動態統計)。救急搬送や重症者も年々増加傾向で、とくに高齢者や子ども、屋外で作業を行う方は注意が必要です。
この記事では、一般市民や高齢者、働く人、経営者など幅広い層を想定し、「熱中症対策」「暑さ対処法」といったキーワードを織り交ぜながら、暑い夏を安全に乗り切るための信頼できる情報を平易に解説します。
ほかの記事で「熱中症対策グッズ」「湿球黒球温度(WBGT)」にも触れていますので是非読んでください!
「熱中症対策グッズ」の記事はこちら
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Contents
熱中症とは何か?:原因や症状、重症度
熱中症とは、高温多湿な環境で体内の水分・塩分バランスが崩れ、体温調節機能が破綻して起こる障害の総称です。初めは汗をたくさんかくことで体内の塩分(ナトリウムやカリウム)が失われ、脱水症状を起こしますが、進行すると循環不全、脳神経機能障害なども招きます。
熱中症は放置すると重篤化し、最悪の場合、命に関わりますが、早めの予防と適切な対策で防ぐことが可能とされています。最近では地球温暖化の影響や高齢化で高齢者の体温調節能力が低下していることなどから、熱中症による死亡者数が増加傾向にあります。統計では65歳以上の高齢者で最も死亡数・死亡率ともに高く、また乳幼児でもリスクが高いことが知られています。
熱中症を引き起こす主な要因は、「高温・高湿度」の環境に長時間さらされることです。同じ温度でも湿度が高いと体からの汗の蒸発が妨げられ、体温が下がりにくくなります。直射日光が強い屋外作業や通気性の悪い蒸し暑い室内などでは特に注意が必要です。
また、基礎疾患(糖尿病・高血圧・心疾患など)を持つ人、運動不足で暑さに慣れていない人、睡眠不足・疲労・二日酔いの人などは体調を崩しやすいので、リスクが高いとされています。
心不全や腎不全で普段から水分制限をしないといけない状況だと、夏場に脱水になりやすくなります。脳や心臓の血管の動脈硬化が進んでいる方は、過度な脱水によって脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高くなってしまいます。
実際、最高気温が至適気温より5℃、10℃、20℃と高くなると非外因死亡のリスクがそれぞれ6%、20%、60%高くなるという報告もあります(2017年4月 労働の科学より)。
いずれの場合も「暑さを避け、こまめな対策と水分補給」が予防の基本です。
熱中症の症状:初期症状~危険なサイン
熱中症は症状の程度でⅠ度(軽度)、Ⅱ度(中等度)、Ⅲ度(重度)に分類されます。いずれも初期症状を見逃さず早めに対処することが大切です。
- 初期症状(Ⅰ度):めまいや立ちくらみ(脱水症状:熱虚脱や熱失神と呼ばれることも!)、筋肉痛・筋肉のこむら返り・手足のしびれ(熱けいれん:発汗による塩分喪失が主な原因)
スポーツ中や炎天下の作業中にこのような症状が出たらすぐに休憩を取って水分と塩分を補給しましょう。 - 中等度(Ⅱ度):大量発汗による血液濃縮や循環異常が起き、頭痛、吐き気、嘔吐、倦怠感、虚脱感(力が抜ける感じ)が現れます。集中力・判断力の軽度な低下を伴うこともあります。
以前は『熱疲労』と呼ばれていたこともあります。
この段階でも多くのケースでは涼しい場所で休ませ、冷却と水分・塩分補給を行うことで回復を期待できます。ただし、飲水や歩行に支障をきたしている場合や受け答えがおかしいなど意識状態に明らかな異常がみられる場合には少なくとも医療機関の受診を検討する必要があります。 - 重度(Ⅲ度):別名、『熱射病』、『日射病』とも言います。
体温調節機能が完全に失調し、体温が上昇、意識障害(普段と違うおかしい応答や意識消失)、けいれん、運動機能の異常などの中枢神経障害が起こります。
非常に危険な状態で、速やかに救急隊を呼び、適切な処置が必要です。
歩いて受診される方で多い症状は「めまい・たちくらみ、筋肉痛や筋肉のこむら返り、手足のしびれ、頭痛、吐き気・倦怠感」などが挙げられます。受診までに少し時間が空いた場合には体温はへ熱に戻っていることも珍しくありません。また、高齢などで汗をかく能力が低下していると、少しだけかいた汗はすぐに蒸発してしまうので当の本人が汗をかいていることに気が付いていなかったことも珍しくありません。
この場合には、汗をかいていないから熱中症ではないとは言い切れませんから注意したいですね。
症状が現れたら、ただちに涼しい場所に移動させ、体を冷やしながら水分・塩分を補給しましょう。熱中症は症状の出始めから悪化が早いことも注意を要するポイントです。
重症の状態である日射病(熱射病とも呼ばれます)では頭痛や意識障害・運動障害が特に強いため、症状が重い場合はすぐに救急医療を受ける必要があります。
熱中症を防ぐ基本行動:暑さを避ける工夫と休息
熱中症対策の基本は、【1】暑さを避ける、【2】適切な休憩、【3】衣服・グッズによる工夫、【4】こまめな水分・塩分補給です。以下のポイントを参考にしましょう。
- 暑さを避ける:室内では扇風機やエアコンで温度調節し、直射日光を遮るため遮光カーテンやすだれを活用します。屋外では日陰を歩き、外出時には日傘や帽子を着用しましょう。道路や地面の照り返しも原因になるので、自宅前を打ち水で冷やしたり、遮熱シートを利用するのも効果的です。
- 休憩を取る:暑い時間帯(とくに昼前後)は活動を控え、こまめに休憩を取るようにします。外出やスポーツは早朝や夕方に行うなど予定を工夫しましょう。休む際は涼しい場所で横になれるスペースも確保できるとより安全です。
- 衣服・装備の工夫:吸湿性・速乾性に優れた薄手の衣服を着て、通気性を良くします。熱を吸収しやすい黒い服やウール・合成繊維は避け、冷感機能素材やUVカット素材の服を選びましょう。直射日光下では通気性の良い帽子の着用も検討してみてください。さらに、保冷剤入りベルトや冷却シート、携帯用扇風機、ネッククーラーなどの冷却グッズを活用し、首筋やわきの下、足首など血管の集まる部分を冷やすと効果的です。
- こまめな水分・塩分補給:喉の渇きを感じなくても定期的に水分を摂りましょう。とくに室温が上がりやすい室内でも油断せず、こまめに水分補給が必要です。冷やした水や麦茶などを飲むことで脱水を防ぐだけでなく体の内側から冷却する効果を期待することができます。
- 水だけでなく、汗で失われる塩分・ミネラルも補うために、経口補水液(OS-1など)や塩分入りスポーツドリンク、塩飴・梅干しなどの塩気のある食べ物も摂るようにしましょう。
- 注意点としてカフェイン飲料(コーヒー、緑茶、紅茶、エナジードリンク)やアルコール、糖質が多く含めれている清涼飲料水は尿量を増やすことで脱水を助長する恐れがありますから避けるか、もしくは尿が多くなる分は多めに水分を摂るようにしてください。長時間の外出や運動の前には、塩分タブレットを携帯するのも有効です。
これらの基本行動は、気象庁や厚生労働省などの公的情報でも推奨されています。厚労省広報には「熱中症の予防には、水分補給と暑さを避けることが大切」と明記されています(熱中症対策リーフレット)。また多くの自治体が作成した啓発資料でも、扇風機・エアコンの使用、日傘・遮光カーテン・打ち水、涼しい服装、水分塩分の補給、冷却グッズの活用などが具体的に挙げられています
水分・塩分補給のポイント:飲み物と補給タイミング
熱中症対策で最も重要なのは水分・塩分補給です。汗を大量にかくと体内の水分だけでなく、ナトリウムやカリウムなどのミネラルも失われます。水分補給には以下の点を心掛けましょう。
- 補給のタイミング:喉が渇いたと感じてからでは遅いことがあります。こまめに水分をとる習慣をつけ、寝起きや入浴前後にも水分を摂るようにしましょう。高齢者や子どもは喉の渇きに気づきにくいため、周囲が声掛けして定期的に飲ませます。
- 補給量の目安:労働環境のガイドラインでも適切な水分・塩分摂取の重要性に言及されています。具体的には基礎疾患による水分制限がない限りも0.1%~0.2%の食塩水、ナトリウムの含有量が40~80mg/100ml のスポーツドリンク又は経口補水液等を20~30分ごとにコップ1~2杯程度摂取することが望ましいとされています。例えば屋外作業時は「20分休憩して水分」といったペースで補給すると良いでしょう。一般生活でも1時間に1杯程度の水を目安に摂ると、無理なく脱水予防ができます。
- 飲み物の種類:真夏の活動中は、水か薄めたスポーツドリンクがベストです。スポーツドリンクにはナトリウムやカリウムが含まれており汗で失われた電解質を補給できます。ただし糖分も含むため摂り過ぎには注意してください。汗を大量にかいた場合や体調を崩してしまい食欲がない場合は、経口補水液(OS-1など)が特に効果的です。OS-1はナトリウムとブドウ糖を含み、吸収効率の高い濃度に調整されている補水液で、熱中症や脱水症状の対策に推奨されています。糖質の多い飲料やカフェインを含んだ飲料を摂取する場合には多めに水分を摂るようにしてもらうと良いです。
- 塩分補給:汗の成分は水だけでなく塩分(ナトリウム)も含みます。水だけを大量に飲むと血液の塩分濃度が薄くなり逆に体調を崩すこともあるため、水分補給時には必ず塩分も一緒に補給しましょう。具体的には、スポーツドリンクやOS-1のほか、塩分タブレット、梅干し、しょっぱいお茶(梅昆布茶など)、味噌汁(冷まして飲む)などでナトリウムを補給するのも効果的です。一方、利尿作用のあるお茶(カフェイン飲料)や清涼飲料水、ジュース、甘酒(アルコール入り)などは塩分が少なく、脱水を招いたり、体温を上げてしまう可能性もあるため、熱中症予防飲料としては推奨されません。常温かできればやや冷たい程度(10〜15℃程度)の飲み物を、少量ずつこまめに飲むようにするとお腹にもやさしいと思います。
高齢者・子ども・疾患のある人の注意点
熱中症になりやすい人は、とくに注意が必要です。まず高齢者は体内の水分量が少なく汗をかきにくい上に、喉の渇きを感じにくいため、見た目には元気でも急に脱水状態になりがちです。
子どもは体温調節機能が未発達な上に大人ほど自分で暑さを避けたり休憩を取ったりできません。
基礎疾患(糖尿病、高血圧、心疾患、腎臓病など)を持つ人は、そもそも熱中症のリスクが高まります。
対策としては、これらの人がいる家庭や施設では周囲の見守りが重要です。冷房をしっかり効かせる、定期的に水分補給を促す、涼しい服装に着替えさせる、外出時は必ず誰かが付き添うなどの声掛けをしましょう。高齢者には経口補水液(OS-1等)を常備し、飲ませるとよいでしょう。入院患者や介護が必要な高齢者には、体調をこまめに確認して危険サインを早めに察知するよう配慮が必要です。厚生労働省発行の高齢者向けリーフレットでも、「水分補給と暑さを避けること」が予防の基本とされています(高齢者のための熱中症対策 厚生労働省)。
もし熱中症になったら:応急処置と注意点
万が一熱中症が疑われた場合は、速やかに応急処置を行います。
まずはその人を 涼しい場所(冷房の効いた屋内や日陰)に移動させ、衣服をゆるめて体に風を当てたり、冷たいタオルや氷嚢で頚部(首筋)・脇・足首などを冷やします。
水やスポーツドリンクで 水分・塩分補給 を行い、意識がはっきりしている場合は口から少しずつ飲ませます。
熱中症の場合、失神して倒れることもあるので、倒れている人は仰向けに寝かせて足を心臓より少し高くすると血圧の低下を部分的に防ぐことができます。意識がなく自力で飲めない場合や、繰り返し吐いたりして回復が見られない場合は、すぐに救急車(119番)を呼んでください。
熱中症の重症度が高いと体温が40℃近くまで上昇し、命の危険があります。こうした場合は特に速やかな医療介入が必要です。救急隊が到着するまでは、氷や冷水を浴びせて体を冷やし続け、水分・塩分をこまめに補給する応急処置を継続してください。
まとめ:暑い夏を乗り切るために
猛暑の夏は、油断すると誰でも熱中症のリスクがあります。年々記録的な暑さが増している今年は、とくに念入りな対策が欠かせません。日常生活では「暑さを避け、涼を取る」「こまめに水分・塩分補給」という基本を徹底しましょう。おすすめの 熱中症対策グッズ としては、冷却タオルやポータブル扇風機、保冷剤入りの冷却ウェア、OS-1などの経口補水液、スポーツドリンク、WBGT温度計、日傘や冷感マスクなどがあります。職場では環境整備と作業管理を徹底し、全員で労働者の健康を守ることが求められます。
暑さに慣れていない初夏の頃や真夏日の最中は特に注意が必要です。まずは気象庁の暑さ予報や熱中症警戒アラートに注意し、風通しの良い服装・休息・補給を心がけることで、熱中症から身を守りましょう。「熱中症にならないようにする、なっても早めに対処できるようにする」ことを目指し、安全・快適な夏を乗り切りましょう!
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