ビタミンの種類と役割、過不足時に起こる影響

水分と栄養

先日、水分と5大栄養素についてお話ししました。

今日のHELCONではビタミンの種類やそれぞれの役割について詳しくお伝えしたいと思います。

ビタミンの種類とその役割

ビタミンとは?

ビタミンは、三大栄養素(炭水化物、脂質、タンパク質)には含まれないものの、体の正常な機能維持に不可欠な栄養素です。水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンの2つのグループに分類され、それぞれ異なる役割を果たします。


水溶性ビタミンと脂溶性ビタミン

水溶性ビタミン(尿中に排泄されやすく、毎日の摂取が重要)

  • ビタミンB群
    • B1(チアミン):糖質や脂質をエネルギーに変換
    • B2(リボフラビン):FADやFMNの原料となり、酸化還元反応を媒介
    • B3(ナイアシン):脂質異常症改善やNAD+の生成
    • B5(パントテン酸):コエンザイムAの原材料
    • B6(ピリドキシン):神経伝達物質の合成、アミノ酸代謝の補助
    • B7(ビオチン):カルボキシル化反応を促進し、皮膚や髪の健康を維持
    • B9(葉酸):DNAやRNAの合成に必要(肝臓に3〜4か月分貯蔵可能)
    • B12(コバラミン):DNA合成や神経の維持(肝臓に3〜4年分貯蔵可能)
  • ビタミンC(アスコルビン酸):抗酸化作用、コラーゲン合成促進

水溶性ビタミンは一般的に体内に貯蔵されにくく、過剰に摂取しても尿中に排泄されるため中毒のリスクは低いとされています。ただし、ビタミンB9(葉酸)は肝臓に3〜4か月分、B12(コバラミン)は3〜4年分貯蔵されるため、不足による影響が異なります。

脂溶性ビタミン(体内に蓄積されやすく、過剰摂取に注意)

脂溶性ビタミンは体内の脂肪内に蓄積されやすい性質があり、過剰摂取による健康リスクが伴うこともあります。一方で、脂質とともに吸収されるため、特定の小腸の病気(セリアック病、クローン病など)や膵臓の疾患(慢性膵炎、嚢胞性線維症)、肝臓・胆管の病気(胆汁うっ滞症、胆道閉鎖症)を持つ人では吸収障害が生じやすくなります。特に、脂肪便が続いている場合は脂溶性ビタミンの吸収が妨げられ、欠乏症のリスクが高まるため注意が必要です。また、ビタミンAやDの過剰摂取は頭痛、吐き気、肝機能障害、骨の異常などを引き起こす可能性があるため、適量の摂取を心掛けることが大切です。

また、ビタミンDやビタミンKは母乳栄養では不足しがちなので、乳児の成長に必要な量を補うために適切な栄養補充が推奨されます。特に、ビタミンKは新生児の腸内細菌による合成が未熟なため、出血リスクを防ぐ目的で生後すぐに医療機関でビタミンKシロップの投与が行われます。一方、ビタミンDはくる病のリスクを軽減するため、生後数週間以降に400IU/日の補充が推奨される場合があります。日光浴もビタミンD合成に有効ですが、紫外線の影響を考慮しながら適切な時間・方法で行うことが重要です。そのため、産科や小児科の指導のもとで適切な補充を検討することが推奨されます。

  • ビタミンA:視覚・皮膚の健康維持、免疫機能の向上
  • ビタミンD:カルシウム吸収を助け、骨の強化、免疫調整
  • ビタミンE:抗酸化作用、血流改善、細胞膜の保護
  • ビタミンK:血液凝固や骨の健康に関与

各ビタミンの働きと不足・過剰時の影響

水溶性ビタミン

ビタミンB1(チアミン)

  • 役割:糖質や脂質をエネルギーに変換(薪があっても火がつかないのと同じように、B1がなければエネルギーが作られない)
  • 不足すると起こる疾患:認知症、心不全、筋力低下(脚気、ウェルニッケ・コルサコフ症候群)
  • 過剰摂取:通常の食事では問題なし
  • 多く含む食材:豚肉、うなぎ、大豆、そば

ビタミンB1(チアミン)は炭水化物(糖質)や脂質をエネルギーに変えるために必須のビタミンです。自費診療で行われているにんにく注射の主成分でもあります。水分と5大栄養素でお伝えしたように、炭水化物(糖質)、脂質そのものはエネルギー源として重要ですが、からだを動かすためにはエネルギーに変えて活用する必要があります。薪があっても酸素がないと火が着かないのと同じように、炭水化物(糖質)や脂質があってもビタミンB1がないとエネルギーとして活用することができないわけです。

つまり、食べられないなどで栄養失調になり、ビタミンB1が不足するとエネルギー源となる3大栄養素(特に炭水化物(糖質)や脂質)が体内にあってもそれを利用することができなくなってしまうのですね。これは、脳や心臓、筋肉などのエネルギー消費の多い臓器では大きな問題で、認知症や心不全、筋肉量の減少の原因になってしまいます。こういった状態を医学的にウェルニッケ・コルサコフ症候群や脚気と呼びます。

ビタミンB1はアルコール多飲でも起こりやすいとされています。何事もほどほどに楽しむのが大切ですね。

ビタミンB2(リボフラビン)

  • 役割:酸化還元反応の補酵素
  • 不足すると起こる疾患:皮膚や粘膜の障害(口角炎、結膜炎)
  • 多く含む食材:レバー、納豆、卵

ビタミンB2(リボフラビン)はFADやFMNの原料となり酸化還元反応を媒介します。エネルギー生成においても重要な役割を担っています。栄養失調時などで不足すると皮膚や粘膜が障害されて口角炎や皮膚炎、結膜炎の原因になります。

ビタミンB3(ナイアシン)

  • 役割:NAD+の原料
  • 不足すると起こる疾患:皮膚炎、認知症、下痢(ペラグラ)
  • 多く含む食材:まいたけ、落花生、たらこ、かつお、まぐろ、さば、インスタントコーヒー

ビタミンB3(ナイアシン)は必須アミノ酸のトリプトファンから、ビタミンB2とビタミンB6の媒介下で体内で合成され、NAD+やNADP+の元になります。
脂質異常症(高コレステロール血症)の方では、VLDLを下げてHDLを増加させることでコレステロール血症を改善する効果が期待できます。
栄養失調で不足すると皮膚炎や認知症、下痢症を起こします。ペラグラと呼ばれる病気ですが、襟元に皮膚炎を生じることや手足に色素沈着を起こすことが特徴です。
逆に摂り過ぎると、顔が赤らんだり、高血糖、高尿酸血症の原因になるので注意が必要です。

ビタミンB5(パントテン酸)

  • 役割:コエンザイムAの原材料
  • 不足すると起こる疾患:皮膚炎、脱毛症、腸炎
  • 多く含む食材:アボカド、さつまいも、レバー、納豆、鶏ささみ、鮭、いわし

ビタミンB5(パントテン酸)は、コエンザイムAの構成要素として、エネルギー産生や脂質の合成・分解に貢献しているビタミンです。コエンザイムは日本語で補酵素といい、酵素を助ける物質全般の総称です。サプリメントで有名なコエンザイムQ10とは別の物質になります。

栄養失調でビタミンB5(パントテン酸)が不足すると、皮膚炎、脱毛症、腸炎、副腎不全の原因になることがあります。

ビタミンB6(ピリドキシン)

  • 役割:神経伝達物質の合成、アミノ酸代謝
  • 不足すると起こる疾患:神経障害、抑うつ、けいれん
  • 過剰摂取:神経障害(長期大量摂取時)
  • 多く含む食材:赤みの魚(かつお、まぐろ、鮭)、脂の少ない肉類(鶏ささみ・レバー、豚ヒレ)、バナナ、パプリカ、サツマイモ、玄米

ビタミンB6(ピリドキシン)はさまざまな神経伝達物質(セロトニンやアドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミン、GABA)を合成する際に必要となるビタミンです。長期の栄養失調や、経口避妊薬(ピル)・結核の治療薬(イソニアジド)の長期内服によってビタミンB6(ピリドキシン)が不足すると、末梢神経障害(しびれ)の原因になり、重症化するといらだちやすくなったり、けいれんを起こしたりします。

また、ビタミンB3の項でご説明したように、ビタミンB6はビタミンB3の合成にも必要です。そのため、ビタミンB6(ピリドキシン)欠乏症を起こすと、ビタミンB3(ナイアシン)欠乏症も一緒に生じてしまう可能性があります。

ビタミンB7(ビオチン)

  • 役割:カルボキシル化反応を促進し、皮膚や髪の健康維持
  • 不足すると起こる疾患:皮膚炎、脱毛症、腸炎
  • 過剰摂取:通常の食事では問題なし
  • 多く含む食材:まいたけ、落花生、鶏卵(卵黄)、バジル、焼きのり、しいたけ、黒砂糖、大豆

カルボキシル化という化学反応を促す補酵素です。栄養不足からビオチン欠乏症になることは稀ですが、長期の抗生剤使用や卵白の過剰摂取ではビオチン欠乏に陥りやすくなると報告されています。ビオチン欠乏症になると皮膚炎や脱毛症、腸炎を引き起こすと報告されています。

ビタミンB9(葉酸)

  • 役割:DNAやRNA合成、胎児の神経管形成
  • 不足すると起こる疾患:貧血、胎児の神経管閉鎖障害
  • 過剰摂取:B12欠乏を隠す可能性あり
  • 多く含む食材:鶏レバー、菜の花、モロヘイヤ、ほうれん草、ブロッコリー、いちご、焼きのり

ビタミンB9(葉酸)は、DNAやRNAといった核酸を合成するのに必須のビタミンです。栄養失調のためにビタミンB9(葉酸)が不足すると貧血を起こすことがあります。

貧血の原因としては胃潰瘍や月経過多(生理の量が多い状態)のために出血が続くことで血液の原料となる鉄分が不足し、鉄欠乏性貧血となるケースが有名ですが、鉄分を補充している間に葉酸が消費されて不足することもあるため必要に応じてサプリメントや処方薬でビタミンB9(葉酸)の補充を行うことがあります。

また、妊産婦で葉酸摂取が不足すると胎児が二分脊椎(先天奇形の一種)を発症するリスクが高くなることが報告されており、妊娠希望の女性は妊活中から葉酸補充を心掛けるように産婦人科の先生方から勧められることが多いです。

妊娠希望女性のとっての葉酸補充の重要性 ~胎児の奇形予防のために~

また、長期間葉酸を補充する時にはビタミンB12(コバラミン)不足に陥らないように注意が必要です。

ビタミンB12(コバラミン)

  • 役割:DNA合成、神経機能の維持
  • 不足すると起こる疾患:貧血、神経障害
  • 過剰摂取:通常の食事では問題なし
  • 多く含む食材:牡蠣、あさり、さば、ほたて、ほっけ、しじみ、あじ、焼きのり

ビタミンB12(コバラミン)もDNA合成に必要なビタミンです。ビタミンB9(葉酸)不足と同じように貧血の原因になりますが、ビタミンB9(葉酸)と違ってビタミンB12(コバラミン)欠乏症では脊髄障害によって全身の筋力低下や手足のしびれ、平衡感覚の障害を起こすため注意が必要です。

一般的に動物性食品から摂取することができ、消化吸収には胃酸の成分が重要な役割を果たします。また、小腸の後半で吸収されるので、極端な菜食主義や胃・小腸の手術、クローン病などの小腸疾患の背景があるとビタミンB12のリスクが高くなります。高齢者では、胃潰瘍や胃癌で胃の切除を受けている方は注意が必要です。予防的なビタミンB12の補充が望まれます。
万が一、手足の脱力やしびれ、歩きにくさを感じたり、健診で貧血を指摘された場合にはビタミンB12の不足について2次健診で調べると良いでしょう。

ビタミンC(アスコルビン酸)

  • 役割:抗酸化作用、コラーゲン合成促進
  • 不足すると起こる疾患:壊血病
  • 多く含む食材:パプリカ、ブロッコリー、キウイ、いちご

ビタミンC(アスコルビン酸)は、抗酸化作用のあるビタミンで、体内のコラーゲン合成に必要なビタミンです。コラーゲンは皮膚や関節の軟骨の形成に非常に重要なため、不足すると皮膚や毛髪、粘膜、血管、関節軟骨がもろく荒れやすくなり、壊血病という病気になってしまいます。進行すると皮下や粘膜下、関節内に出血を起こしやすくなります。かつては、海軍や遠洋漁業の船乗りなど野菜や果物の摂取が難しい職業の人々の間で問題になった病気ですが、近年でも長年の偏食が祟って栄養不足にあり罹患するケースを目にすることが稀にあります。

ビタミンCがコラーゲンの新陳代謝に不可欠なことから最近は美容医療の分野でもビタミンC製剤が処方されることが増えているようです。ただし、摂り過ぎると吐き気や下痢、疲労、尿管結石の原因になってしまうことがあるので自由診療の処方薬や民間のサプリメントで長期間摂取している方は注意が必要です。

また、ビタミンCには鉄の消化吸収を促進する作用もあります。貧血で鉄剤を飲まれている方で鉄剤の吸収を促す目的で短期的にビタミンC製剤の併用を検討することもあります。

脂溶性ビタミン

ビタミンA

  • 不足すると起こる疾患:夜盲症、皮膚障害
  • 過剰時:肝障害、催奇形性
  • 多く含む食材:レバー、うなぎ、ニンジン(油と一緒に施主すると吸収率が向上)

ビタミンAは、網膜と皮膚の形成に必要なビタミンです。ビタミンAから合成した化合物の中にはにきびや急性前骨髄球性白血病の治療薬なども含まれます。

不足すると夜盲症や皮膚の乾燥、角膜障害などを生じますが、摂り過ぎると頭痛や吐き気、視野のぼやけの原因になります。長期間の過剰摂取は肝障害、関節痛、脱毛症、皮膚乾燥、頭蓋内圧の上昇の原因になります。

ビタミンAは催奇形性との関連が報告されており、特に妊娠中は普段の食事からの摂取以外に過剰な摂取を行うことは控える必要があります。先ほど述べたように医療現場でもにきびや白血病の治療薬でビタミンAの誘導体が利用されており、このほかにも市販のビタミンDのサプリメントにはビタミンAも一緒に含まれていることが良いので知らない間に余剰な摂取を行っている可能性があります。

この記事を読んでいる方の中で、妊娠出産を控えている女性の方がいれば一度ご自身の内服薬やサプリメントを確認されるとよいかもしれません。

ビタミンD

  • 不足すると起こる疾患:骨軟化症、くる病
  • 過剰時:高カルシウム血症
  • 多く含む食材:いわし、鮭、さんま、まいたけやきくらげなどのキノコ類
  • 適度に日光を浴びることが大切

ビタミンDは、骨の形成に関与するビタミンです。適切な量を摂取することによって腸からのカルシウム、リンの吸収を助け、骨のミネラル化を促して骨の強度を底上げしてくれます。紫外線を浴びることで皮膚の中でビタミンDの合成が行われるため、屋外活動時間の少ない方や高緯度の地域にお住まいの方ではビタミンDが不足しやすくなります。加齢に伴って骨密度が低下する骨粗鬆症という病気がありますが、これに対する治療薬の1つとしてビタミンD製剤が使用されています。

逆に、過剰に摂取してしまうと高カルシウム血症や高リン血症を起こしてしまい、吐き気や食欲の低下、便秘症、意識障害の原因となってしまいます。腎機能の悪い方で問題になることが多いです。サプリメントや処方薬で補充を行う場合には、その方の年齢や基礎疾患に応じて数か月に1回は血液検査で腎機能や血清Ca濃度や血清P濃度を確認されることをお勧めします。

ビタミンE

  • 不足すると起こる疾患:神経障害、皮膚障害
  • 過剰時:出血傾向
  • 多く含む食材:アーモンド、アボカド、鮭(油と一緒に摂取すると吸収率向上)

ビタミンEは抗酸化作用のあるビタミンです。動脈硬化の抑制効果や脂肪肝の肝硬変進行予防効果などが期待されています。栄養失調などで不足すると溶血性貧血や皮膚障害、ビタミンB12欠乏症のような神経障害を生じます。一方で摂り過ぎるとビタミンKの代謝に干渉して出血を起こしやすくなることが知られていますので、自己判断で長期のサプリメント摂取を行う場合には注意が必要でしょう。

ビタミンK

  • 不足すると起こる疾患:出血傾向
  • 過剰時:ワーファリン効果の低下
  • 多く含む食材:納豆、ほうれん草、小松菜(油と一緒に摂取すると吸収率向上)

ビタミンKは、出血を止める血液因子の生成に関与するビタミンです。成人では腸内で合成が可能ですが、新生児や長期の抗生剤使用のある方では腸内の細菌叢が機能しないためビタミンKが不足し出血のリスクとなります。そのため、新生児では特にビタミンKの補充が医療機関にて行われるのがルーチンとなっています。一方で、心臓の人工弁手術を受けた方で血栓予防にワーファリンを服用されている方については、ワーファリンの薬効を阻害してしまうためビタミンKの摂り過ぎには注意が必要です。


まとめ

ビタミンは不足・過剰ともに健康に影響を与えます。特に脂溶性ビタミンは体内に蓄積されやすく、摂取量に注意が必要です。バランスの良い食事と適切な補充を心掛けましょう。

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